相続税で、現預金は相続時の金額にそのまま100%課税されます。 しかし、不動産は意図的にその評価額を落とすことができ、その分だけ税額が減ります。そのいくつかをご紹介します。
- 土地の相続税評価額
更地(自用地)に建物を立て賃貸した場合、土地の利用が制限されるため賃家建付地と評価され、更地のままより10~20%減額されます。(1-【借地権割合】×【借家権割合】×【賃貸割合】) - 建物の相続税評価額
固定資産税評価額が相続税評価額となりますが、実際の建築費よりかなり低くなります(50~60%)。更に賃貸すると借家権分(原則30%)低くなり、結果的に貸家の場合、評価額は建築費の半分以下になります。
- ※ 自己資金がありながら借入金で建築しても、相続税評価額は変わりません。
- ※ 賃貸建物を建築する場合、収益性を十分確認することが大切です。
預貯金はその金額で評価されますが、不動産は購入価格で評価されるわけではなく、土地は路線価、建物は固定資産税評価額を基に評価され、一般的に購入価格より安くなります。
収益不動産の購入により、2億円の現預金が評価額で9240万円減額しました。
一般定期借地権 | 建物譲渡特約付き借地権 | 事業用定期借地権 | |
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存続期間 | 50年以上 | 30年以上 | 10年以上50年未満 |
利用目的 | 制限なし | 制限なし | 事業用のみ(住居用は不可) |
契約 | 書面 | 制限なし | 公正証書 |
終了 | 期間満了 | 建物譲渡 | 期間満了 |
終了時の措置 | 原則として更地で返還 |
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原則として更地で返還 |
- 定期借地権のメリットは、自己建設と違い、建物建設の初期投資や建物の維持管理が不要で、事業リスクが低く、安定した地代収入が得られることです。
- 相続税評価額も最大で20~45%減額されます。
(※下記の「一般定期借地権の底地の評価」を参照。) - 定期借地権設定時に受取る一時金も、一定の要件を満たせば一時に課税されず、前払地代として毎年1年分の地代だけ課税を受けることができます。
- デメリットしては、契約期間中の底地の売却は難しく、自己建設の場合より収益性は低く、相続税評価額の減額の割合も残存期間が短くなれば少なくなります。
- 一般定期借地権の底地の評価
- 【自用地価額】-【一般定期借地権相当額】=【一般定期借地権の底地評価】
- ※【一般定期借地権相当額】=【自用地価額】×(1-底地割合)×【低減率】
- ※ 底地割合は路線価図のD区域で60%、E区域で65%です。通常の普通借地権は、底地割合はそれぞれ40%、50%です。